津軽三味線
伝統と原点
津軽弁で,違う事を、「つがる」と云います。つまり津軽(つがる)三味線は、他人と「違う三味線」と云う事なのです。
違って良いのです!!
昔から津軽には、「オラは、皆(みんな)ど(と)つがる(ちがう)。」の「じょぱり(頑固)」「え(かっ)ふり(こ)こき(付け)」「も(奇)つけ(抜)」の精神が、ありました。
じょんから節ひとつでも弾(ひ)く奏者によって違います。又それを聴く聴衆者(ちょうしゅうしゃ)の皆様もそれぞれ違う感性で聴きます。
津軽三味線は、その時代に生きる聴衆者(ちょうしゅうしゃ)のニーズに応(こた)えて進化 発展させてきた事が、伝統だと思います。
昨今(さっこん)、津軽三味線の原点は、「唄付(うたづ)け」 と言う人達が、いますが、果(は)たして、そうでしょうか?津軽の昔、社会的にも底辺に居た奏者達は、生きていく為、食べていく為、他人とは違うものを生み出し、色々な芸を身に着け、「門付(かどつ)け」をし、弾き語り等をしたのが、原点ではないだろうか。「唄付(うたづ)け」は、津軽民謡全盛期に、数多くの優れた唄い手が存在していた頃に、脚光(きゃっこう)を浴びたもので、一つの伝統では有るが、原点では無いと思います。「原点」とは、「ぼさま」と呼ばれていた頃の彼等の「生きざま」こそが、津軽三味線の「原点」だと思います。